醸造所について

標高650ⅿ。南信州の山々に抱かれた、東京スカイツリーのてっぺんよりも高い場所で僕らはくだものを作っています。

ここ松川町はりんごの一大産地で、松川ICを降りるとすぐに雄大な南アルプスと、綺麗に手入れされた果樹園が目の前に広がります。

もともと雑木林だった農地を先人たちが切り開き、時には自然災害等によって壊滅状態に追い込まれながらも、100年以上の時間をかけて作り上げてきた美しい風景です。

ひい爺さんの代から受け継いだ農地は、僕ら兄弟の代で4代目になります。

3代目(フルーツガーデン北沢現園主)の北沢公彦は元ディズニーランド職員。テーマパーク勤務の経験から「日常を忘れてのんびりできる、サービスを売る観光果樹園」を提唱し、贈答だけでなく果物狩りや加工品作りにも力を入れてきました。

僕らはそんな、楽しそうに農業に取り組む親の背中を見て育ち、弟はダイビングインストラクター、兄は証券会社の営業を経てここに帰ってきました。

僕らが帰ってきて感じたことは、自分たちの手で作物を作る農業の楽しさ。そして同時に、周りのりんご農家の疲弊です。就農者の高齢化や、耕作放棄地の増加。そんな中で父のもとに舞い込んでくる「この農地何とかならないか?」という相談件数の多さ。

既存のお客様もご高齢になっていく中、りんご全体の消費量は減少傾向に向かっており、若い人ほどりんごを食べないという現実。

でも、可能性はあります。

初めて来てくれたお客様の「今までスーパーで買ったりんごとは全然違う」「りんご、嫌いだったけど好きになれそう」という声。友人やお世話になった方に来ていただいたときのリピート率の高さ。景観の良さに加え、日照時間の長さ、昼夜の寒暖差の大きさ等、全国的に見てもこの地域は美味しい果物を作れる条件が揃っています。

素晴らしい条件で手塩にかけて育てたりんごのおいしさ、アルプスに囲まれたこの地域の美しさををもっと沢山の人に知ってもらいたい。りんご農家の可能性を広げ、自分たちの愛するこの果樹園地帯を、持続可能なものにしていきたい。その一つのきっかけとして、園主の長年の夢でもあったシードル醸造所の建設、そして「シードルの自家醸造」に今回踏み切ることに決めました。

新しく完成する醸造所にはフルーツガーデン北沢の前身である「丸亀 北沢農園」の屋号をとって、「マルカメ醸造所」と名付けました。初代、2代目の頃の屋号を使用しています。「亀は万年」。この農園が末永く続くように、とひい爺さんが名付けた屋号です。

りんごのお酒、シードルを活かした観光果樹園、地域づくりを。2019年に完成したシードル醸造所は、そんな想いを込めて醸造を始めます。お酒造りだけでなく、醸造見学や原料となるりんごを食べてもらったり、この地域ならではの食を絡めたイベントの開催等を通して、より皆さんにこの場所やシードルを身近な存在にしていただけるような「面白い場所」を作っていきます。

写真左から、北沢寛(醸造担当)、北沢公彦(フルーツガーデン北沢園主)、北沢毅(営業、広報担当)